古代中国哲学① ~唯物論

 

お待たせしました!
いよいよ「パンダもわかる中医学」のはじまりです。

まず中医学を学ぶ前に、おさえておきたいのが、どういう思想でこの膨大な理論体系が作られたかということ。

本当は、陰陽五行学説のあたりから、さらっと入っていこうと思っていたのですが、ココを押さえないと、あとあと素朴な疑問が湧いてきてしまいそうなので、ちょっぴり小難しい哲学の話から始めようと思います。
 
第一回は、『唯物論』です。
 
「この世のすべてのものは、根本的に"物質"でできている。」

みなさんは、どう思われますか?

確かにそうかも。。
いや待てよ、そうかも。。と思った意識は"物質"じゃないから、そうとも言い切れないか。。

なんて、深読みしている方もいらっしゃるかもしれませんね。

「唯物論」とは、ざっくり言うと、"物質"をすべての根源とする考え。
ご承知の通り、"物質"とは、姿や形があり、目に見えるもの。

一方、対比して使われるのが、「唯心論」といい、"精神"がすべての根源とする考え。
"精神"とは、人の感情や思考のこと。つまり、目に見えないもの。

 "物質"と"精神"があるのはわかるけど、お互いどう解釈するのか?

前者の「唯物論」は、まず"物質"がありきで、それが精神に影響を及ぼすという考え方。
後者の「唯心論」は、まず"精神"がありきで、それが物質に影響を及ぼすという考え方。

現代社会の発展は、おそらく「唯物論」的発想に支えられてきたのかなと思います。

あれも欲しい。これも欲しい。
お金持ちになったら、幸せになれるかも。。

経済に詳しい方は、資本論で有名なマルクスなんかがその路線ですね。
社会を決めるのは、人の考えではなく、お金や家などの物資的なものである、と。

最近、それだけでは解決できない問題に出くわしはじめ、見直されているつつあるのが、精神性を重んじる「唯心論」的発想なのではないでしょうか?
 
 だいぶ脱線したところで、そろそろ本題に戻ります。

最近は、西洋医学に対比されるものとして、東洋医学が注目を集めつつありますが、
まず細胞・遺伝子レベルで科学的に分析していく、西洋医学は「唯物論」的発想だというのは納得だと思います。

では、東洋医学はどうでしょうか?

その逆だから「唯心論」???と思いきや、実はそうでもないのです。

以前の記事にもちらりと書きましたが、東洋医学といっても実際には、中医学の他にもアーユルベーダ医学、韓医学、チベット医学などいろいろあります。
 
中医学しか学んだことがないので、他の東洋医学についてここで触れるのはあえて避けますが、少なくとも中医学に限って言えば、何と「唯物論」の発想なんです。
 
 中医の大学に通い始めたばかりの頃、気の概念についての授業での先生の様子がとても印象的でした。

通訳を介しているので正確なところはわかりませんが、西洋のスピリチュアル的なものとは一緒にしないでくれ~という雰囲気がひしひしと伝わってきました(笑)
 
『気』とは、絶え間なく運動している”物質”の実体であり、存在しないがごとく微小なもので、いたるところに存在し、限りなく分散し広がっている。

だそうです。
どこかで聞いたことあるような。。
量子力学とかの世界と似てるような。。
 
  中医学は、あくまで、宇宙に存在するすべてのものは『気』という”物質”からできている、という「唯物論」でまとめられた超現実的な理論体系だということをまずはご理解ください。
 
だいぶ、難しい話になってしまったので今回はこの辺で。

次回は、『整体観念』についてです。