病気の原因②  ~内因(七情)

 

第9回は、中医で考えられる病気の原因3つのうち、『内因』についてです。

前回、ご紹介した「六邪(六淫)」は外部環境の変化(外因)によるものだったのに対して、今回ご紹介する「七情」は、精神的な感情(内因)によるものなります。

中医学では、
"怒、喜、思、憂、悲、恐、驚"
の7つの情緒の変化を『七情』と呼んでいます。

これらの感情が強すぎたり、長く続くと「五臓」(肝、心、脾、肺、腎)の気の流れに異常をきたします。
 
順番に見ていきましょう。
 
  
●”怒”は、肝に属す。
「怒則気上」(怒れば、則ち気は上る)
怒り過ぎると肝気が上逆し、頭に血が上る。
→過度な怒りは肝を傷つける。

●”喜”は、心に属す。    
「喜則気緩」(喜べば、則ち気は緩む)
喜び過ぎると心気が緩み過ぎて、精神が散乱して集中できなくなる。
→過度な喜びは心を傷つける。

●"思”は、脾に属す。     
「思則気結」(思えば、則ち気は結ぶ)
思い込みや悩みなどの精神疲労が過ぎると、気機が鬱結し、脾の運化が失調する。
→過度な思い込みは脾を傷つける。

●”悲”と”憂”は、肺に属す。
「悲則気消」(悲しめば、則ち気は消える)
→悲しみや憂いが過ぎると、肺気を抑鬱し、肺を傷つける。
    
●”恐”と”驚”は、腎に属す。
「恐則気下」(恐れれば、則ち気は下がる)
極度の恐れは、腎気の固摂を失調させ、気が下から出てしまう。

「驚則気乱」(驚けば、則ち気は乱れる」
驚きすぎると、気機を逆乱させ、心腎の働きが乱れるため、精神が錯乱する。
→過度の恐れや驚きは腎を傷つける。


まあ、言われてみればそうかもと思うことばかりですね。

この七情、人間らしく生きるためには欠かせないものですが、長期に渡る過度な変化は、確実に臓腑(臓器)にも影響が出てきます。

かといって、なかなかやめられないのが感情の癖。怒りっぽいとか、くよくよしやすいとか。。
この中医学の理論で行くと、特定の臓腑が弱い場合は、それに応じた情緒変化などのストレスの影響を受けやすいということでもあります。

もしかしたら、その臓腑(体)を整えれば、感情の癖(心)も改善される?!ということもあるかもしれませんね。
 
次回は、『不内外因』についてです。