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北京旅行記① ~医療編

 

 

 先週末まで、北京に5泊6日の研修旅行に行っていました!

目的は、本場中国の中医病院での臨床研修と大学での卒業式でしたが、なにしろ、30年ぶりの中国、はじめての北京。大学で学んだ仲間と一緒といえ、ドキドキの旅行でした。

前半2日半はひたすら研修。自由行動は、実質1日半しかありませんでしたが、百聞は一見にしかず。
肌で感じた北京について3回に分けて書いてみたいと思います。

一回目は、中国医療事情について。
中国でも日本と同じように、いわゆる西洋医学の病院にかかります。

違うところは、それでも治らない慢性的な病気だったり、東洋医学的な治療をしたいと思ったときに駆け込める、中医の病院があるということ。

今回研修でお世話になったのは、国立北京中医薬大学の東直門病院という中医学の病院です。入り口に、先生のお名前、専門などが書いてある看板があります。

まず驚いたことは、その横に先生の診察料が書いてあること。何と先生によって診察料が違うのです。お金を払ってでも有名どころの先生に診てもらい人、そこまで重症ではないので普通に診てもらえればいい人、自分で選べるようです。
なかなか理にかなったシステムですよね。


で、中に入ると受付窓口に並ぶ長蛇の列。。日本のように待合室で座るようなスぺースはありません。

⚫️初日午前中/外来の鍼灸科で研修。
中国では、れっきとした医師が鍼灸をします。
まず、医師の問診を受けます。面白いのが、日本では看護師さんが行うであろう細かい問診は、医学生が行っているということ。

医学生が患者さんからヒアリングした内容を元にお薬手帳的なものにいろいろ書き込みます。
患者さんは忙しい先生の他に医学生にたっぷり話を聞いてもらえるし、医学生にとっても臨床の経験につながるので一石二鳥ですね。

我々研修チームは、6人1チームで研修を受けていたのですが、他に医学生が4~5人。狭い診察室にいったい何人いるのだろうか、、という状況。

患者さんがいなくなると、お菓子を食べている医学生、スマホいじっている医学生、結構無茶苦茶です(笑)

ここで、病状に応じて一つ一つの生薬の加減がされ、中薬(漢方薬)が処方されます。
パソコンで打ち込むところは日本と何ら変わらぬ光景です。

何人かの患者さんの問診が終わると、鍼灸タイム。10台ほどあるベッドで横たわる患者さんに順番に鍼を刺していきます。
アルコール消毒してるんだか、してないんだか(笑)目にもとまらぬ速さで鍼を刺していきます。
 
主要なところを先生が刺した後、その他細かいところを経絡に沿って、助手が丁寧に刺していくというスタイル。

なかなか効率的ですね。その日でも十分慌ただしい気がしましたが、50人程度?多い時では、半日で100人ほど診るそうです。

セキがでて夜眠れない人、扁桃腺がはれたけれど授乳中で薬が飲めない人、円形脱毛症の人、皮膚病の人、、などなど。

日本では鍼をさしたら、しばらくじっとしていると思いますが、こちらでは鍼をさしたままクネクネ動いている患者さんもいます。
これは気の巡りをよくして、鍼の効果を最大限に引き出すの出すのだそうです。

12cmくらいの太い鍼を腰に刺している患者さんもいました。刺すたびに痛がっていましたが、効果はありそうですね。


⚫️初日午後/脳科の入院病棟。
中風(日本でいう、脳卒中)で入院している患者さんの問診の様子を見学。

患者さんしゃべり出したら止まらない。中国の方って、こんな感じなのでしょうか?

西洋医学のMRI,CTなどの検査も受けつつ、中薬(漢方薬)の入った点滴や中薬の処方などを併用していました。

⚫️2日目午前/腎科の入院病棟。
消渇病(日本でいう、糖尿病)の2人の患者さんの問診の様子を見学。

我々研修生も脈をとらせていただきました。同じ病気でも患者さんによって脈違うんですよね。。

1人目の患者さんは、病歴が長く、日本と同じようにインシュリン注射や運動療法をしつつ、抗糖化のために中薬も併用していました。足の色素沈着や壊死には、中薬の足湯を併用していました。

2人目の患者さんは、糖尿病初期で入院1週間。中薬を服用して、3日ほどで数値が正常に戻ったそうです。もうじき退院でしょうか?

⚫️2日目午後/心内科の入院病棟。
真心痛(日本でいう、心筋梗塞)の患者さんの問診の様子を見学。

急性期には、西洋医学の心臓カテーテル治療などを施し、今は安定期で中医治療をしているとのこと。

 

⚫️3日目午前中/外来の婦科。
同じチームに産婦人科のドクターがいたからでしょうか?
我々チームだけ、昨日までの病院とは別の外国人、VIP向け?のセレブレディースクリニックでの研修でした。

綺麗な建物、診察室、トイレ。椅子に座っての研修。。前日までの長時間立ちっぱなしの過酷な研修に比べると天国でした。

診察スタイルとしては、1日目の鍼灸科の外来とほぼ同じでした。
先に医学生の問診があり、その後医師の問診。
生理痛、不正出血、子宮内膜症、子宮筋腫、流産して出血が止まらない、更年期障害、
一人っ子政策解除の影響からか40代で2人目が欲しいというひともちらほら。。

西洋医学的な検査と並行して、中薬が処方されていました。

あっという間の2日半の弾丸研修でしたが、百聞は一見にしかずですね。
実際に治療を目の当たりにすると、今まで勉強してきたことがつながってきます。非常に有難い経験でした。

西洋医学と東洋医学(中医学)の融合を既に実践している中国。
日本も見習うべきところがあるのではないでしょうか?
次回は、北京観光について書いてみたいと思います。