古代中国哲学③ ~陰陽学説

 

第3回は、『陰陽学説』です。

これは皆さん馴染みがあるのではないでしょうか?

相反する二つの原理や要素から構成されていると考える「二元論」はご存知かと思います。いたるところに浸透していますね。

例えば、旧約聖書、創世記の冒頭にでてくる"天地創造"の一節。
 
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初めに、神は天地を創造された。
地は混沌であって、闇が深淵の面にあり、神の霊が水の面を動いていた。
神は言われた。「光あれ。」
こうして、光があった。
神は光を見て、良しとされた。
神は光と闇を分け、光を昼と呼び、闇を夜と呼ばれた。
夕べがあり、朝があった。
第一の日である。
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え〜、神さまが造ったの??
キリストが生まれるずっとずっと前の古代中国の人がこれをみたらびっくりしますね、、、

中国でいうと"天"という概念が近いのかもしれませんが、ラストエンペラーの時代まで長い間"君子"が絶対だった中国では、どう受け止めるんでしょうかね。

神さまが造ったかどうかはおいておいて、「二元論」という意味では同じ概念になります。

 古代中国哲学の『陰陽学説』では、「この世のものは、すべて"陰"と"陽"の二つの要素から成り立っている」と考えます。

上の聖書一節を"陰陽"に分けるとこんな感じでしょうか?

(陽)   (陰)
 天  と  地
 光  と  闇
 昼  と  夜
 朝  と  夕

 でも、"陰陽"を含めたこの「二元論」、なんとなくどちらか一方が良くて、どちらか一方は悪いようなイメージを持っていませんか?

実は、中国語では「陰陽」は、"阴阳”と書くんです。

中医の大学でこれを初めて習ったとき、
"お月さま"と"お日さま"かぁ、、
と妙に納得した記憶があります。

月と太陽、どっちが良くて、どっちが悪いなんてないですよね。。
このまま「阴阳」でよかったんじゃないか、なんて思うのは私だけでしょうか?
 
 
  話は変わりますが、白黒の勾玉が組み合わさったようなこのマーク。
どこかで一度は見かけたことあると思います。
 
このマークは、「太極図」といい、黒の勾玉と白の勾玉は、それぞれ「陰」と「陽」を表しています。

ちなみに、陰(黒)の中のちっちゃい白丸を「陰中の陽」と言い、陽(白)の中のちっちゃい黒丸を「陽中の陰」と呼びます。
白黒の半月の組み合わせで良さそうな感じもしますが勾玉の形であることに、実は意味があるのです。

「重陰必陽、重陽必陰」
(陰極まれば陽と成し、陽極まれば陰と成す)

陰陽は絶対的なものでなく相対的なもので、常に変化を繰り返しており、一方が存在することで他方が成り立つという考え方をします。

陰だけでも陽だけでもダメで、常に変化し続けるものととらえる。

 ちなみに、中医学では、健康とはこの陰陽のバランスがとれている状態のことを指します。

健康を保つには、陰陽がスムーズに循環し、常にバランスを保つことが大事になります!

次回は、『五行学説』についてです。