古代中国哲学④ ~五行学説

 

第4回は、『五行学説』です。

毎回小難しい哲学の話が続いていますが、それも今回までです。あと1回だけお付き合いください。
 
 西洋には、「万物は、地(土)・水・火・風(空気)の四元素から成る」という『四大元素』の思想があります。

4つのエレメント、4つのボトル、、、
西洋占星術やアロマテラピー(精油)などは、この四大元素がもとになっているので、耳にしたことがある方もいるかもしれませんね。

古代ギリシャ、ローマ、イスラム世界など、19世紀頃までずっとヨーロッパで支持されていた考え方になります。

   一方、対比されるものとして、中国には、『五大元素』という考え方があります。

「万物は、木・火・土・金・水の五元素から成る」

例えば、こんな感じです。

   木   火    土    金   水
五季 春 ・ 夏 ・ 長夏 ・ 秋 ・ 冬
五方 東 ・ 南 ・ 中央 ・ 西 ・ 北
五色 青 ・ 赤 ・  黄  ・ 白 ・ 黒

 この「四大元素」と「五大元素」、類似点はあるものの、異なった考え方になります。

ちなみに、インドでは、「地・水・火・風」の『四大元素』。チベットでは、「地・水・火・風・空」と別の『五大元素』だったりするので、西洋と東洋で分かれているわけでもないようですよ。

いずれにしろ、あらゆる自然界の事物を4つだか、5つだか分類してみようと思うなんて、昔の人は本当にすごいですね。
  
さて、本題に戻りますが、
『五行学説』とは、「自然界のすべての事物は、木・火・土・金・水の5つの要素の運行と変化によって成り立っている」という考え方になります。
 
ただ「五大元素」に分類するだけではなく、これらは"互いに生じあい(相生)、互いに制約(相克)しあう関係であり、たえず変化している"ととらえ、それを「五行」と呼んでいます。
まず、「相生」は、”木”から時計回りに見ていくと、、、
木は燃えて火を生み、火が燃えて残った灰は土になり、土からは金(金属)が産出し、土の中で金属が結露することにより水が生じ、水で潤い木が育つという関係になります。
 
で、それぞれ”母子関係”になっています。木は火の母であり、水の子でもある。火は土の母であり、木の子でもある。つづく・・・
 
一方、「相克」は、中央の星に注目して、"木”から矢印に沿って見ていくと、、、

木は土の養分を吸うことにより土を克し、土は水を染み込ませることにより水を克し、水は火を消すことにより火を克し、火は金(金属)を溶かすことにより金を克し、金(金属)は木を切り落とすことにより木を克すという関係になります。

上に書いた通り、この「相生」と「相克」の関係は、自然界のすべての事物の正常な運動変化になります。

「相生」がなければ、事物の発展はなく、適度な「相克」がなくても、変化や発展は維持できない。

 続きがあって、相克関係において、克し過ぎることを「相乗」、相克の関係が逆になった状態(本来克される方が逆に克してしまう関係)を「相侮」といったりするのですが、これらはいずれも「相克」の異常ととらえます。

自然界のあらゆる事物は、この絶妙な「相生」と「相克」の関係によって保たれています。

難しい言葉はさておいて、一方が他方に比べて、必要以上に強すぎても弱すぎてもダメ。
 
しつこいようですが、今回もバランスが大事という話でした。

次回からは、いよいよ「からだのしくみ」に入っていきます。